ロボプラ:スカーミッシュ ベータ版 - undefined


ガンプラでボードゲーム ベータテスト&制作記

2019年春のゲームマーケットでアルファ版の試遊を行っていた『ロボプラ:スカーミッシュ』ですが、2年を経てベータ版になりました。

今回は使用ダイスを2D6から1D20に変更するなど 根本的なバランス調整を行い、より 局地戦の泥沼感を出せるように調整しました。まだベータなので調整が必要な部分は残っていますが、前回よりもちゃんと遊べる状態にできたと思っています。

明日の ゲームマーケット2021春 2日目 日曜日にルールブックをコピー本として200円で頒布予定です。
後日PDF版も無料公開予定なので待てる方はPDF版をお待ちください(アルファの時も言っていましたが、今回はすぐに公開できると思います)。

※追記:公開しました。製品ページはこちらです
RC版に改定した話はこちらの記事です

ベータテストの様子はYoutubeでも公開しています。

ベータ版での変更点

ベータ版への更新は全体的な見直しを行っていますが、主だったところでは以下のような修正を行っています。アルファ版がコピー本で22部しか出回っていないので差分聞かされても困るかもだけど。

  • 使用ダイスを変更
  • ユニット作成時に消費するポイントのコストパフォーマンス調整
  • 各種判定時の目標値計算式見直し & ユニットシート再作成
  • 武器データ追加 & 特徴データ見直し
  • ルール処理のフローチャート作成
  • ゲームフレーバー設定
  • ゲームタイトル見直し(見送り)

使用ダイス変更

もともとミニチュアゲームに馴染みのないガンプラをはじめとするモデラーのみなさまをアナログゲーム沼に落とすために作り始めたこともあり、準備が楽な6面体2つで遊べるようにするつもりでした。

しかしゲームのプレイ感を調整していく中で2D6(六面体2つ)ではどうにも調整しきれず、1D20(20面体1つ)に変更することになりました。

2D6と1D20の期待値比較

雰囲気で読んでもらいたいのですが、出目合計値の分布が ダイス2つだと中央に偏り、ダイス1つだと偏りなく分布します。

ダイス選択についてはそれだけで1本記事が書けると思っているのですが、今回は以下のようなことを考えながら変更を決断しました。

平均的な機体同士の戦闘なら3発程度の直撃で大破して欲しい

判定に使うダイスを変更すると当然判定結果の出目も変わってきます。能力値を目標値として判定を行うため、基本となる能力値も見直さなければなりません。能力値だけではなく、判定に影響する能力補正や、耐久値や武器の攻撃力なども影響してきます。
なのでこれを機にゲームバランスの見直し、ひいてはプレイ感の見直しを行いました。

平均的な機体の能力値と武器を想定して 「何回攻撃したら撃墜できるのか」というところから逆算してバランス調整を行います。

戦車は貫通弾1〜3発くらいで大破するらしいということと、あまり少なすぎてもゲームとして楽しめないと思い、目安を3回くらいの応酬を行い、4発程度命中すれば撃墜できるというところを目安にしました。
1ゲームの時間も30分前後に納めたいというのもあったので、4回程度の命中で終わるなら程よいかな、という判断も入っています。

攻撃成功率、防御回避成功率、クリティカル率を加味して 1回の攻撃試行あたりのダメージ期待値を算出して調整を行いました。
攻撃の種類別にも、近接格闘は近づくまで攻撃できないので少し強くしたりと変化をつけています。

期待値の数値化と評価

表計算ツールで数値化しながら地道にバランス調整を行っています。

例えば、耐久値をあげても耐えられる攻撃回数が変わらないと上げる意味が感じられなくなると思うので、その辺りはあげたらあげた分だけ「硬くなった」と感じられるような調整を各能力値ごとに行なっています。
ただ、移動値については一歩間違えるとバランス崩しかねない感じだったので念入りに調整は行いましたが、まだ修正入れるかもしれません。

ユニット作成時に消費するポイントのコストパフォーマンス調整

プレイヤーごとに同じ量のポイントが与えられ、それぞれポイントを消費して部隊を構成するというポイントシステムを採用していますが、1ポイントあたりのコストパフォーマンスのバランスが取れていないと強い部隊と使いたい部隊の乖離が生まれ、 ロマンとゲームの両立ができなくなってしまいます

それでは自分で作ったプラモデルで遊ぶという楽しみが大きく削がれてしまうので、この辺りは念入りに調整したつもりです。……が、このあたりは条件を変えたテストを繰り返したり、極端な構成のテストをしたり、ということが必要なので正式版までにさらに調整を加えていくつもりです。

ちなみに2D6の時は目標値に大きく影響する能力値の増減が「最初の1増加」と「3点目の増加」で価値がずれてしまっていて極端な能力にするほどコスパが悪くなっていました。量産機好きな私的にはアリかも……とも思いますが、ガンプラなどのキャラクタープラモデルはヒロイックな設定の機体も多いということや、特化型機体を使うロマンもあるので1D20への変更につながりました。

ポイント数見直し

またアルファ版では「合計100ポイントから作成」だったのですが、実際には5ポイント刻みでのコスト設定になっていたので思い切って5で割って 「合計20ポイント、1ポイント刻みで消費」 に更新しました。これで少しでもルールが簡略化されればと思います。

各種判定時の目標値計算式見直し & ユニットシート再作成

判定計算式見直し

アルファ版では射撃回避判定と格闘防御判定(成功するとダメージ無効化)の目標値はそれぞれ以下としていました。

  • 射撃回避判定
    • 移動値 - 射撃判定の成功度
  • 格闘防御判定
    • 格闘値

こういうデザインにした経緯は「射撃は先読みがうまくいった時(成功度が高い時)は避けにくく、格闘は鍔迫り合いが頻発する」というようなイメージでした。

しかし実際にプレイしてみると射撃判定の成功度を管理するのが微妙に面倒だったのと、状況によってはほとんどダメージが通らずゲーム展開がグダるケースがあったので

  • 射撃回避判定
    • 移動値 ÷ 2 (小数切り捨て)
  • 格闘防御判定
    • 格闘値 ÷ 2 (小数切り捨て)

とシンプルにし、ともにダメージを無効化しにくくしました。

ユニットシート更新

小数切り捨てというのも面倒だったので、ユニットシートを再デザインして事前に記載しておけるようにしました。

更新したユニットシート

武器データ追加 & 特徴データ見直し

武器データ追加

武器などのデータは基本ルールでは極力少なくしておきたかったのですが、ついノリで増やしてしまいました。

アルファ版での武器は

  • 実弾射撃武器
  • ビーム射撃武器
  • 近接格闘武器

の3種類のみだったのですが、

  • 高出力ビーム射撃武器
    • ゴンブトビームはロマン
  • 拡散射撃武器 2種
    • ショットガンとか
  • 大型近接格闘武器
    • ドリルはロマン
  • 弾道射撃武器
    • 榴弾砲みたいなイメージ
  • (マニピュレータでの格闘攻撃)

と5種追加して8種となってしまいました。あとはテストプレイ中に「武器を持っていなくても普通格闘攻撃はできるよね」というコメントから武器なし攻撃のデータを追加しています。

特徴データ見直し

また特徴データではルール上意味のないもの(能力値の増減で代替できる、など)は廃止しています。今回のアップデートでの目玉としては、味方の「目」になることができる観測レーダーを追加しています。これにより部隊構成や戦略に幅が出せると良いな、と思っています。

テストでも観測レーダー持ちと弾道射撃武器

特徴についてはテストプレイがまだまだ十分とは言えないこととゲームの幅を増やしやすいギミックだと思っている正式版に向けてはもっと見直していきたいと思っています。

ルール処理のフローチャート作成

なんでフローチャート?

最近Gloomhavenで遊んでいるのですが、敵モンスターの操作ロジックが非常にわかりにくくプレイ時間の3割くらいはルールの解釈に当てられている気がします。割と経験値のあるITエンジニア4人がかりで条件分岐を解析したりして、最終的には持ち主がフローチャート作ってくれたりしていたのですが、 だったら最初からフローチャートがあればいいと思って作ってみました。

最初はnomnomlという気に入っている作図ツールで作っていたのですが、それなりに入り組んだ条件分岐になったため、nomnomlで作成した図を元にdraw.ioで清書しています。

ルール自体もできるだけシンプルにしていますし、これでルールで困ることはないんじゃないかな、と期待しています。

ゲームフレーバー設定

ガンプラとテーブルトップゲームが好きな人とか、ガンプラバトルとかって言って通じる人たちにはあまり必要ないかと思っていたのですが、もう少し裾野を広げたり、わかっている人たちにも妄想が捗るようなフレーバーを追加しました。

シチュエーションとしては 偵察任務中の偵察分隊が敵勢力を発見、遭遇戦となったというような感じです。なので1〜3体と少数機編成なのです。ポイントを増やしたり、複数人ずつでチーム戦する場合などはいい感じに脳内設定を作っていただければと思います。

ちなみに「哨戒」とか「鹵獲」といった単語はミリタリー知識がないと通りが悪いということで、サークル内レビュー時に別の表現に置き換わりました。

ゲームタイトルの変更は見送り

最近流行りのミニチュアゲームタイトルがゲームの雰囲気を想起できるような洒落た名前のものが多かったので正式版タイトルの検討も行なっていました。

Frostgrave(凍った墳墓。ファンタジー)、Rangers of Shadow Deep(深い影のレンジャー達。ファンタジー)A billion suns(10億の太陽。宇宙艦隊SF)、Gaslands(ガソリンの世界。ポストアポカリプスカーレース)のような洒落た名前が羨ましい。

色々考えて「Scorch Marks on the Armor(装甲の焦げ跡)」というのを考えたのですが、サークル内レビューの結果

  • scorchの通りが悪いだろう
  • 少なくとも国内では現状ロボプラの響きがわかりやすくてよい

ということで見送ることになりました。
正式版でどうなるかはわからないですが、タイトルについては当面は現状維持します。


と長々書き連ねてきましたが、今回のバージョンでそれなりに遊べる内容になったと思うので、ぜひ遊んでみてください。
コロナが落ち着いてプレイヤーが増えていたら、イベントとかもやってみたいですね。プラモデルを持ち寄った大人達が「当たらんよ!」「これで!」とか言ってる空間楽しそうです(厨二脳)。


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